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春から初夏、ホタルイカは深海からやってきて、夜の海面を青白い光で妖しく照らす。
初夏から夏には、ホタルが日没後野山の水辺を音も無く舞い、黄緑色の光を明滅させる。
それら命を持つものの不思議な光を、フォトグラム(※)の技法により写した。
ホタルにはカラー印画紙、ホタルイカにはカラーポジフィルムを用いた。
どちらも体内の発光物質ルシフェリンにルシフェラーゼという酵素を反応させて光っている。
その美しい光は熱を持たない冷光だ。
仲間との交信や敵の目をくらますために使われるようだが、発光の理由や仕組みについてはまだ謎が多く、全容は解明されていない。
西村 陽一郎
2014年「ホタルとホタルイカ」展
(※)フォトグラム
カメラを使わず、暗室のなかで制作する写真技法。通常のフォトグラムは印画紙上に被写体を乗せ、上から電球などの光を当ててその影を写しとる。
だが、今回のシリーズは被写体である生物自身が光源でもあるため、他の光は使用していない。
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